第108回

108PM024|第108回 保健師国家試験 過去問

検査で陽性と判定された人のうち実際に疾病を有している人の割合を示す指標はどれか。

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正解5

正答

5.陽性反応的中度

この問題のポイント

スクリーニング検査の評価指標の定義を問う問題です。手がかりは「検査で陽性と判定された人のうち」という分母の条件です。分母が「疾病の有無」なのか「検査結果」なのかを見分ければ、指標を特定できます。

解説

スクリーニングの指標は、検査結果(陽性・陰性)と真の状態(疾病あり・なし)を組み合わせた2×2の分割表で整理すると理解しやすくなります。受検者は次の4群に分かれます。

  • a:疾病ありで検査陽性(真陽性)
  • b:疾病なしで検査陽性(偽陽性)
  • c:疾病ありで検査陰性(偽陰性)
  • d:疾病なしで検査陰性(真陰性)

この4群から、主な指標は次のように計算します。

  • 敏感度(感度)= a/(a+c):疾病がある人のうち、検査で陽性となる割合
  • 特異度= d/(b+d):疾病がない人のうち、検査で陰性となる割合
  • 偽陽性率= b/(b+d):疾病がない人のうち、誤って陽性となる割合(1−特異度)
  • 偽陰性率= c/(a+c):疾病がある人のうち、誤って陰性となる割合(1−敏感度)
  • 陽性反応的中度= a/(a+b):検査陽性者のうち、実際に疾病がある割合
  • 陰性反応的中度= d/(c+d):検査陰性者のうち、実際に疾病がない割合

問題文の「検査で陽性と判定された人」は、分母が a+b であることを示します。「実際に疾病を有している人」は分子が a であることを示します。したがって a/(a+b)、つまり陽性反応的中度が正答です。

敏感度・特異度は、分母が真の状態(疾病の有無)で、検査そのものの性能を表します。対象集団の有病率が変わっても、原則として大きくは変わりません。一方、的中度は分母が検査結果で、対象集団の有病率に左右されます。

具体例で確認します。敏感度90%・特異度90%の検査を1万人に行う場合を考えます。

  • 有病率1%のとき:疾病あり100人のうち真陽性は90人です。疾病なし9,900人のうち偽陽性は990人です。陽性反応的中度は 90/1,080 で約8.3%になります。
  • 有病率10%のとき:真陽性は900人、偽陽性も900人です。陽性反応的中度は50%に上がります。

同じ検査でも、有病率の低い一般住民の検診では、陽性者の大半が偽陽性になり得ます。逆に、ハイリスク者に絞って検査すると陽性反応的中度は高まります。なお、有病率が高くなると陰性反応的中度は下がります。

実践では、陽性反応的中度は受診者にとって「陽性と言われたら本当に病気である確率」を意味します。精密検査の必要性を説明するとき、不要な不安を和らげる根拠になります。がん検診の精度管理では、要精検率・精検受診率・がん発見率とともに、プロセス指標として用いられます(「陽性反応適中度」と表記されることもありますが、同じ指標です)。

また、陽性と判定する基準値(カットオフ値)を下げると、見逃しが減って敏感度は上がります。その代わり偽陽性が増えて特異度は下がります。敏感度と特異度はこのようにトレードオフの関係にあり、基準値の選択にはROC曲線が用いられます。

選択肢の確認

1.特異度:疾病を有していない人を分母とし、そのうち検査で陰性と正しく判定された人の割合 d/(b+d) を示す指標です。分母が検査陽性者ではないため、問題の定義には当てはまりません。健常者を正しく除外する力を表し、特異度が高い検査ほど偽陽性が少なくなります。確定診断で「陽性なら病気と言える」ことを重視する場面で重要になります。

2.敏感度:疾病を有している人を分母とし、そのうち検査で陽性となった人の割合 a/(a+c) を示す指標です。分母は疾病のある人であり、陽性者ではありません。見逃し(偽陰性)の少なさを表すため、見逃しが重大な結果を招く疾患のスクリーニングで重視されます。「陽性者のうち疾病がある割合」と分子・分母を取り違えやすいので注意が必要です。

3.有効度:スクリーニング評価の標準的な単一指標の名称ではありません。検査が真の状態をどの程度正しく判定できるかという妥当性を広く指す言葉として用いられ、その評価には選択肢1・2が使われます。仮に正診率(全受検者のうち判定が真の状態と一致した割合)と解釈しても、分母は受検者全体であり、陽性者に限った指標にはなりません。

4.偽陽性率:疾病を有していない人を分母とし、そのうち誤って陽性と判定された人の割合 b/(b+d) を示す指標で、1から選択肢1の値を引いたものに等しくなります。問題文の分母(陽性者)とも分子(疾病がある人)とも異なります。「陽性者のうち疾病がない人の割合」b/(a+b) と混同しやすいですが、それは1から選択肢5の値を引いたものです。

5.陽性反応的中度:正答。検査で陽性と判定された人(a+b)のうち、実際に疾病を有している人(a)の割合 a/(a+b) を示す指標で、問題文の定義と一致します。対象集団の有病率が低いほど値が低くなり、有病率が高いほど値が高くなる点が特徴です。

覚えるポイント

  • 分母で見分けます。分母が疾病の有無なら敏感度・特異度(偽陰性率・偽陽性率)、分母が検査結果なら陽性・陰性反応的中度です。
  • 2×2表の式を覚えます。敏感度 a/(a+c)、特異度 d/(b+d)、陽性反応的中度 a/(a+b)、陰性反応的中度 d/(c+d) です。
  • 偽陽性率=1−特異度、偽陰性率=1−敏感度です。
  • 敏感度・特異度は検査固有の性能で、有病率の影響を受けにくい指標です。的中度は有病率で変わり、有病率が低いほど陽性反応的中度は下がります。
  • カットオフ値を下げると敏感度は上がり、特異度は下がります(トレードオフ)。基準値の検討にはROC曲線を用います。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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