第109回

109AM014|第109回 保健師国家試験 過去問

コラボヘルスにおいて事業者が連携するのはどれか。

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正解1

正答

1.健康保険組合

この問題のポイント

コラボヘルスで、事業者(会社などの事業主)が協働する相手を問う問題です。コラボヘルスは、事業者と、その従業員・家族が加入する医療保険者との協働を指す用語です。選択肢のうち、事業者に雇用される従業員(被用者)とその家族が加入する医療保険者は健康保険組合だけです。市区町村も国民健康保険の保険者ですが、被用者保険の保険者ではありません。

解説

コラボヘルスについて、厚生労働省は「健康保険組合等の保険者と事業主が積極的に連携し、明確な役割分担と良好な職場環境のもと、加入者(従業員・家族)の予防・健康づくりを効果的・効率的に実行すること」と説明しています。事業者は従業員を雇用する立場から、保険者は医療保険を運営する立場から、同じ従業員(保険者から見れば加入者)を支えます。

判断の手がかり:事業者と対になる保険者はどれか

医療保険者は1種類ではありません。誰が加入する保険かによって、次のように分かれます。

  • 被用者保険:会社員や公務員などの被用者とその被扶養者が、勤務先を通じて加入します。保険者は、健康保険組合(主に大企業や同業種の企業グループが設立)、全国健康保険協会(協会けんぽ、主に中小企業)、共済組合(公務員など)などです。
  • 国民健康保険:被用者保険に加入していない住民が加入します。自営業者、退職者、被用者保険の適用とならない非正規の労働者などです。保険者は市町村(特別区を含む)で、2018年度からは都道府県も市町村とともに保険者になっています。ほかに、同業種の人で組織する国民健康保険組合もあります。
  • 原則75歳以上の人は、それまでの保険から後期高齢者医療制度に移ります。

選択肢のうち医療保険者にあたるのは、健康保険組合と市区町村の2つです。しかし、市区町村が保険者となる国民健康保険は、被用者保険に加入していない住民のための制度です。会社員は原則として勤務先の被用者保険に加入します。事業者と対になって、同じ従業員とその家族の健康づくりを担うのは被用者保険の保険者です。したがって、問題文の「事業者が連携する」から、従業員が加入する被用者保険の保険者(健康保険組合)を選べば正答に至ります。

事業者と保険者の役割分担

会社員の健康に関わる情報や手段は、事業者と保険者に分かれて持たれています。

  • 事業者:労働安全衛生法に基づく一般健康診断の実施義務、ストレスチェック、就業時間や職場環境の管理、産業医・産業保健スタッフによる健康管理を担います。従業員に日常的に働きかけることができます。
  • 保険者:高齢者医療確保法に基づき、40〜74歳の加入者に特定健康診査・特定保健指導を行う義務があります。レセプト(診療報酬明細書)を保有し、被扶養者(家族)も対象にした保健事業を行います。

保険者だけでは、勤務時間中に特定保健指導を受ける時間や場所を確保しにくく、職場環境の改善にも手が出せません。事業者だけでは、医療費や受診状況を把握できず、家族にも働きかけにくいのが実情です。両者が情報と役割を補い合うことで、効果的な保健事業になります。その土台として高齢者医療確保法には、事業者が行った健康診断の結果を保険者が受け取り、特定健診の結果として活用できる仕組みがあります。

この協働とあわせて押さえたい政策が2つあります。

  • データヘルス計画:保険者が健診データとレセプトを分析し、PDCAサイクルに沿って保健事業を計画・実施・評価するものです。健康保険組合をはじめ各保険者が策定しており、コラボヘルスはその効果を高める手段と位置づけられています。
  • 健康経営:従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する考え方で、経済産業省が推進しています。健康経営銘柄の選定や健康経営優良法人の認定などの顕彰制度があり、事業者の側からコラボヘルスを後押しします。

具体的な活動には、次のようなものがあります。

  • 健診データ・レセプトデータの共同分析
  • 就業時間内の特定保健指導
  • 重症化予防のための受診勧奨
  • 禁煙やメンタルヘルスの対策

事業所の産業保健師と健康保険組合の保健師が連携して進めることも多く、保健師の実践に直結する知識です。

混同しやすい「地域・職域連携」

似た用語に地域・職域連携があります。市町村・保健所などの地域保健と、事業所などの職域保健が情報や資源を共有する枠組みです。生涯を通じた健康づくりを切れ目なく支えることを目的とし、都道府県と二次医療圏に地域・職域連携推進協議会を設置して進めます。この連携の大きなねらいは、退職して被用者保険から国民健康保険へ移る人や、産業保健の体制が手薄な小規模事業所の従業員を支えることです。地域・職域連携は「地域保健と職域保健」の連携です。「事業者と、従業員が加入する医療保険者」の協働であるコラボヘルスとは区別して覚えます。

選択肢の確認

1.健康保険組合:正答。事業主に雇用される従業員とその被扶養者(家族)が加入する被用者保険の保険者で、主に大企業や同業種の企業グループが設立します。高齢者医療確保法に基づき、40〜74歳の加入者に特定健診・特定保健指導を行う義務を負います。健診データとレセプトを保有し、データヘルス計画を策定・実施する立場にもあります。事業主と同じ従業員を対象に役割を分担できるため、コラボヘルスの当事者そのものであり、厚生労働省の説明でも協働の相手として名指しされています。協会けんぽや共済組合など、ほかの被用者保険の保険者も、同じように事業主と協働する相手になります。

2.医療機関:病院や診療所は、事業者から定期健康診断を受託したり、所属する医師が嘱託産業医を務めたりして、職域の健康管理に関わることはあります。しかしそれは業務の委託・受託の関係にとどまります。保険者として加入者の予防・健康づくりに責任を持ち、健診データやレセプトを基に事業者と役割を分担する協働の相手ではありません。事業者が主治医と連携する場面は、がんなどの治療と仕事の両立支援で問われることがあります。コラボヘルスとは文脈を分けて整理しておきます。

3.市区町村:特別区を含む市町村は国民健康保険の保険者で(2018年度からは都道府県も市町村とともに保険者)、国保加入者への特定健診・特定保健指導も行うため、医療保険者であることは確かです。しかし国保に加入するのは、自営業者や退職者など被用者保険に加入していない住民です。事業所に雇用される会社員は、原則として勤務先を通じて被用者保険に加入します。そのため、事業者と対になって従業員とその家族の健康づくりを担う保険者にはあたりません。市町村と事業所の連携が問われるのは、地域・職域連携推進協議会などを通じた「地域・職域連携」の文脈で、その場合なら正しい相手になります。

4.保健所:地域保健法に基づいて、都道府県、指定都市、中核市などの政令で定める市、特別区が設置する、地域保健の広域的・専門的・技術的な拠点です。二次医療圏の地域・職域連携推進協議会の運営の中心となって事業所と関わりますが、それは地域保健と職域保健をつなぐ「地域・職域連携」の枠組みでの関わりです。医療保険者ではなく、従業員の健診データやレセプトを保有して保健事業を行う立場にもないため、コラボヘルスの当事者にはなりません。

覚えるポイント

  • コラボヘルスは「事業者(事業主)×従業員とその家族が加入する医療保険者」の協働です。相手は健康保険組合・協会けんぽ・共済組合などの被用者保険の保険者で、対象は加入者(従業員とその家族)です。
  • 医療保険者は「誰が加入する保険か」で区別します。被用者保険の保険者は健康保険組合・協会けんぽ・共済組合など、国民健康保険の保険者は市町村(特別区を含む)で、2018年度からは都道府県も加わりました(ほかに同業種の国民健康保険組合)。
  • 事業者は労働安全衛生法の健康診断と職場環境の管理を担い、保険者は高齢者医療確保法の特定健診・特定保健指導とレセプトを担います。事業者健診の結果は保険者に提供され、特定健診として活用できます。
  • データヘルス計画(保険者が健診・レセプトを分析し、PDCAで保健事業を行う)と健康経営(経済産業省が推進)は、コラボヘルスと関連づけて押さえます。
  • 「地域・職域連携」は地域保健(市町村・保健所)と職域保健(事業所など)の連携で、推進協議会は都道府県と二次医療圏に置かれます。コラボヘルスと取り違えやすいので区別します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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