第109回
109AM028|第109回 保健師国家試験 過去問
相対頻度に含まれるのはどれか。
解答・解説を見る
正解4
正答
4.死因別死亡割合
この問題のポイント
疾病や死亡の頻度を表す指標を、分母の違いで分類できるかを問う問題です。分母が人口(または観察人年)の指標は「絶対頻度」、分母が死亡や患者など事象の総数の指標は「相対頻度」です。各選択肢の分母を確かめると、全死亡数を分母とする死因別死亡割合だけが相対頻度に当たります。
解説
疾病頻度の指標は分母で分かれる
集団の健康状態を数量で表す疾病頻度の指標は、次の2つに大別されます。
- 絶対頻度:分母に人口(または観察人年)をとる指標です。罹患率、有病率、累積罹患率、死亡率などが該当します。「その集団の人がどのくらいの頻度で病気になるか・死亡するか」を表します。
- 相対頻度:分母に事象の総数(全死亡数、全患者数など)をとり、その中で特定の事象が占める割合を示す指標です。構成割合とも呼ばれます。死因別死亡割合、50歳以上死亡割合(PMI)、受診患者の疾病別構成割合などが該当します。
相対頻度の長所と短所
相対頻度の長所は、分母となる人口が分からなくても計算できることです。病院の受診者データでは、その病院を受診し得る背景人口がはっきりしないため率を求められません。しかし、疾病ごとの構成割合なら求められます。50歳以上死亡割合も、死亡数さえ分かれば算出できるため、人口統計が十分に整っていない国を含む健康水準の国際比較に用いられてきました。
短所は、相対頻度が「全体の中の取り分」である点から生じます。ほかの事象が増減すると、対象の事象そのものの頻度が変わっていなくても値が変動します。たとえば感染症による死亡が大きく減った集団では、悪性新生物の死亡率が変わらなくても、悪性新生物の死亡割合は上昇します。
したがって相対頻度は、集団の中でどの死因が大きな比重を占めるかを知るには有用です。一方、集団間で「死亡の危険の大きさ」を比べる目的には使えません。危険の大きさを比べるには、人口を分母とする死亡率を使います。年齢構成の違う集団どうしなら、年齢調整死亡率や標準化死亡比(SMR)を用います。
地域診断では、人口動態統計から市町村の死因別死亡割合を算出し、保健事業の優先課題を考える材料にします。ただし、高齢化の進んだ地域と若い地域を死亡リスクの観点で比べるときは、年齢調整死亡率やSMRに切り替えます。この使い分けが実践で求められます。
他の指標との区別
疫学指標は「率・割合・比」にも分けられます。
- 率:分母に観察人年など時間の要素を含み、発生の速さを表します(罹患率など)。
- 割合:分子が分母に含まれ、0〜100%の値をとります(有病率、累積罹患率、死因別死亡割合など)。
- 比:分子が分母に含まれない2つの量を割ったものです(性比、相対危険、オッズ比など)。
相対頻度は形のうえでは割合です。しかし「割合だから相対頻度」とはいえず、分母が人口か事象の総数かで判断するのが本問の鍵です。有病率は名前に「率」がありますが実際は割合で、分母が人口なので絶対頻度に属します。
寄与危険や寄与危険割合は、頻度そのものではありません。曝露群と非曝露群の頻度を比べて曝露の影響を表す曝露効果の指標です。集団全体の罹患率から非曝露群の罹患率を引いた集団寄与危険も同じ仲間です。年齢調整死亡率は、人口を分母とする死亡率から年齢構成の影響を除いたもので、絶対頻度の系列に入ります。
選択肢の確認
1.有病率:ある一時点の人口を分母とし、その時点で疾病を有している者の割合を示す指標で、人口を分母とする絶対頻度に分類されます。値が0〜100%の割合である点は相対頻度と似ていますが、分母が事象の総数ではないため該当しません。この指標は罹患率と有病期間の影響を受けます。定常状態で値が小さい場合は、おおむね「罹患率×平均有病期間」で近似できます。慢性疾患の患者の多さや医療需要の把握に用いられます。
2.寄与危険:曝露群の罹患率から非曝露群の罹患率を差し引いた値で、曝露によって上乗せされた罹患の大きさを示す曝露効果の指標です。2つの集団の頻度を比較して得られるもので、事象の総数を分母とする相対頻度ではありません。曝露を取り除けば曝露群の罹患をどれだけ減らせるかを示すため、対策効果の見積もりに役立ちます。関連の強さを示す相対危険(罹患率の比)と取り違えないよう注意します。
3.寄与危険割合:曝露群の罹患のうち、曝露が原因と考えられる部分の割合を示す指標で、選択肢2の値を曝露群の罹患率で割って求めます。相対危険をRRとすると(RR−1)/RRと同じ値になります。名前に「割合」とありますが、曝露群と非曝露群の罹患率の比較から導かれる曝露効果の指標です。全事象に占める特定事象の構成を示す相対頻度とは性質が異なります。
4.死因別死亡割合:正答。ある期間の全死亡数を分母とし、特定の死因による死亡数が占める割合を示す指標です。分母が事象の総数であるため、相対頻度(構成割合)に当たります。人口が不明でも算出でき、集団の中でどの死因が大きな比重を占めるかの把握に適しています。一方、ほかの死因の増減で値が変わるため、集団間の死亡リスクの比較には向きません。
5.年齢調整死亡率:観察集団の年齢階級別死亡率を基準人口の年齢構成に当てはめて算出する、直接法の指標です。人口を分母とする死亡率から、年齢構成の違いの影響を取り除いたものです。分類上は絶対頻度(率)であり、相対頻度には含まれません。高齢化の程度が異なる地域や年次の間で死亡状況を比べるときに用います。同じ目的で間接法により求めるのが標準化死亡比(SMR)です。
覚えるポイント
- 絶対頻度は分母が人口・観察人年(罹患率、有病率、死亡率、年齢調整死亡率など)、相対頻度は分母が事象の総数(死因別死亡割合、50歳以上死亡割合〈PMI〉、疾病別構成割合など)です。
- 相対頻度は人口が不明でも計算できます。ただし、ほかの事象の増減で値が動くため、集団間のリスク比較には使えません。
- 率は時間の要素を含み、割合は分子が分母に含まれ、比は分子が分母に含まれません。有病率・累積罹患率は名前に「率」があっても割合です。
- 曝露効果の指標は次のとおりです。相対危険(比)は関連の強さ、寄与危険(差)は曝露による罹患の上乗せ分、寄与危険割合は「寄与危険÷曝露群の罹患率=(RR−1)/RR」です。
- 年齢構成の異なる集団の比較には、直接法の年齢調整死亡率(基準人口を使う)と、間接法の標準化死亡比(観察死亡数÷期待死亡数)を用います。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する(medixmatch2025@gmail.com)までお知らせください。確認して修正します。
解いた記録を残して、苦手な問題をもう一度。
学習アプリなら、この問題の解答記録・メモ・暗記カード化を使えます。