第109回

109AM031|第109回 保健師国家試験 過去問

政令指定都市の保健師の活動で正しいのはどれか。

解答・解説を見る

正解1

正答

1.結核の積極的疫学調査を行う。

この問題のポイント

政令指定都市は地域保健法に基づいて保健所を設置する自治体です。この問題では、その保健師が担う業務を、国や都道府県の役割と区別できるかが問われています。「政令指定都市=保健所設置市」と結びつけられれば、保健所の中核業務である結核の積極的疫学調査を選べます。ほかの選択肢は、実施主体が都道府県や国である業務か、保健活動体制の原則に合わない内容として除外します。

解説

政令指定都市は保健所を設置する市

政令指定都市は、地方自治法に基づき政令で指定される人口50万以上の市です。本来は都道府県が行う事務の多くを、市として処理します。地域保健法では、保健所を設置するのは次の自治体と定められており、政令指定都市は必ず保健所を置きます。

  • 都道府県
  • 政令指定都市
  • 中核市
  • その他政令で定める市
  • 特別区

そのため政令指定都市の保健師は、次の両方を担います。

  • 市町村保健師としての業務:乳幼児健診や健康づくりなど、住民に身近なサービス
  • 保健所保健師としての業務:感染症対策など、専門的・技術的な業務

感染症対策は保健所設置市が自ら行う

感染症法では、保健所を設置する市や特別区では、都道府県知事の権限を市長・区長が行使する仕組みになっています。結核は、2007年に結核予防法が廃止されて感染症法に統合され、二類感染症に位置づけられています。

医師から結核の発生届を受けた保健所は、感染症法第15条に基づく積極的疫学調査を行います。その中心は次の2つです。

  • 患者への面接などで、感染源・感染経路、発病前後の行動、接触者の範囲を把握する
  • 把握した情報から感染リスクを評価し、優先度の高い接触者から接触者健康診断(第17条に基づく健康診断)の対象を選ぶ

保健所が担う結核対策には、ほかに次の業務もあります。

  • 結核登録票による登録者の管理(第53条の12)
  • 保健師などの家庭訪問による服薬支援(DOTSを含む。第53条の14の家庭訪問指導など)

これらは積極的疫学調査とは別の規定に基づく業務なので、区別して覚えます。

いずれの業務も、政令指定都市では市の保健所保健師が自ら担うため、選択肢1が正答です。実践の場では、区の保健センターなどに配置された保健師が、地区活動と感染症対応の両方を担うことが多くあります。

保健所設置市でも都道府県・国に残る役割

保健所を設置していても、広域的な支援・調整や上位計画の策定は、都道府県や国の役割として残ります。

  • 市町村への連絡調整や、技術的助言・職員研修などの援助は、地域保健法で「都道府県の設置する保健所」の役割とされています。
  • 医療計画とその一部である地域医療構想は、医療法に基づき都道府県が策定します。構想区域ごとの調整会議も都道府県が設けます。
  • がん対策推進基本計画は、がん対策基本法に基づき政府が策定します。

保健活動の体制

「地域における保健師の保健活動に関する指針」(2013年、厚生労働省健康局長通知)は、地区担当制の推進を掲げています。地区担当制とは、分野を横断して担当地区を決めて活動する体制です。この方向性は政令指定都市に限らず、すべての自治体の保健師に共通します。

選択肢の確認

1.結核の積極的疫学調査を行う。:正答。政令指定都市は保健所を設置しているため、感染症法の規定により、市長が都道府県知事と同様に積極的疫学調査の実施主体になります。発生届を受けて患者面接で接触者を把握し、接触者健康診断の対象を決める業務は、保健所保健師の中心的な役割です。中核市や特別区の保健所でも同じです。

2.近隣市町村の技術的支援を行う。:市町村相互間の連絡調整や、市町村の求めに応じた技術的助言・研修などの援助は、地域保健法で都道府県が設置する保健所の役割とされています。政令指定都市の保健所は自市の区域を所管するもので、近隣市町村を支援する立場ではありません。「保健所の業務」とひとまとめにして、県型保健所の市町村支援機能と取り違えないよう注意します。

3.地域医療構想の調整会議を行う。:地域医療構想は、医療計画の一部として都道府県が策定するものです。構想の実現に向けて、医療関係者や保険者などが構想区域ごとに協議する場が地域医療構想調整会議で、これも都道府県が設けて運営します。市町村が構成員として参加することはありますが、政令指定都市が会議を主催する立場にはありません。

4.がん対策推進基本計画を策定する。:がん対策推進基本計画は、がん対策基本法に基づいて政府が策定する国の計画です。都道府県はこれを基本として、都道府県がん対策推進計画を策定します。市町村の役割は、健康増進法に基づくがん検診の実施などが中心です。「基本計画」という名称が、国の計画であることの手がかりになります。

5.業務担当制の保健活動を基本とする。:保健活動の指針は、地区担当制の推進を示しています。業務担当制は、母子・成人・精神など分野ごとに担当を分ける体制です。専門性を高めやすい反面、世帯や地区全体の健康課題が見えにくくなりがちです。実際には両者を組み合わせる自治体が多いものの、業務担当制を基本とするとは示されていません。

覚えるポイント

  • 保健所の設置主体は、都道府県、政令指定都市(人口50万以上)、中核市(人口20万以上)、その他政令で定める市、特別区です。市町村保健センターは市町村が任意で設置します。
  • 保健所設置市・特別区では、感染症法上の都道府県知事の権限を市長・区長が行使します。積極的疫学調査、接触者健康診断、入院勧告などを自ら行います。
  • 積極的疫学調査(感染症法第15条)は、感染源・感染経路と接触者の範囲を把握し、接触者健康診断(第17条)の対象を選ぶ業務です。結核登録票による管理や、家庭訪問による服薬支援(DOTS)は、別の規定に基づく結核対策です。
  • 市町村への技術的援助・連絡調整・研修は、都道府県が設置する保健所に特有の機能です。
  • がん対策推進基本計画は政府が、都道府県がん対策推進計画は都道府県が策定します。医療計画と地域医療構想(構想区域ごとの調整会議を含む)は都道府県が担います。
  • 保健活動の指針(2013年)は地区担当制の推進を掲げています。業務担当制と併用する場合も、地区を基盤に個人・家族・地域を一体的にとらえます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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