第109回
109PM024|第109回 保健師国家試験 過去問
地域包括ケアシステムの構築におけるストラクチャー評価はどれか。
解答・解説を見る
正解3
正答
3.関係部署、機関との連携は図られている。
この問題のポイント
保健活動の評価を、ストラクチャー(構造)、プロセス(過程)、アウトプット(事業実施量)、アウトカム(結果・成果)の4つの視点に分類できるかを問う問題です。ストラクチャー評価は「活動を行うための仕組みや体制が整っているか」を見る評価で、関係部署や関係機関との連携体制はその代表的な指標です。各選択肢が「体制」「進め方」「結果」のどれを問うているかを、文の内容から読み分けることが鍵になります。
解説
保健事業評価の4つの視点
保健事業の評価では、医療の質を構造・過程・結果の3側面でとらえるドナベディアンの考え方を土台とし、実施量(アウトプット)を加えた4つの視点が用いられます。特定健診・特定保健指導をはじめ、多くの保健事業の計画と評価でこの枠組みが使われます。
- ストラクチャー(構造)評価:事業を実施するための仕組みや体制を評価します。職員の配置(職種・人数・資質)、予算、施設・設備、関係機関との連携体制、協議の場の設置、マニュアルの整備などが指標です。
- プロセス(過程)評価:目的・目標の達成に向けた手順や活動状況を評価します。情報収集とアセスメント、ニーズの把握、目標設定、支援方法の選択、関係者との調整、記録、対象者の満足度などが指標です。
- アウトプット(事業実施量)評価:事業をどれだけ実施したかを評価します。実施回数、参加者数、受診率、保健指導の実施率や継続率などが指標です。
- アウトカム(結果・成果)評価:目的・目標がどの程度達成されたかを評価します。健康状態や生活の質の変化、有病率・要介護率・死亡率、医療費の変化、地域の健康課題の解決などが指標です。
地域包括ケアシステムに当てはめる
地域包括ケアシステムは、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、住まい・医療・介護・介護予防・生活支援を一体的に提供する体制です。医療介護総合確保推進法で定義され、保険者である市町村が地域の特性に応じてつくり上げていきます。
このシステムは、行政内部の関係部署(高齢・介護、保健、医療、福祉、住宅など)と、医療機関、介護事業所、地域包括支援センター、社会福祉協議会、住民組織などの外部機関が互いにつながって初めて機能します。そのため、部署や機関の間に連携の仕組みができているかどうかは、活動全体を支える土台であり、ストラクチャー評価にあたります。選択肢3はまさにこの連携体制の状態を問うています。
一方、社会資源を調整する働きかけや、ニーズに合った計画・支援になっているかは活動の進め方(プロセス)であり、健康課題の解決や事業化・施策化は活動の結果として生まれるもの(成果の側)です。
読み分けのコツと実践での意味
「何があるか・整っているか」は構造、「どのように進めているか」は過程、「どれだけ行ったか」は実施量、「その結果どうなったか・何が生まれたか」は成果と整理すると判別しやすくなります。同じ「連携」という語でも、連携体制の有無は構造、実際の事例でどのように連携して支援したかは過程、連携会議の開催回数はアウトプットと、問われている内容で分類が変わる点に注意します。
保健師はPDCAサイクルに沿って活動しますが、評価指標は計画段階で4つの視点ごとに設定しておくことが大切です。成果が出ないとき、体制に不足があるのか、進め方に問題があるのかを切り分けて改善につなげられるからです。
選択肢の確認
1.地域の健康課題は解決されている。:活動の最終的な目的が達成されたか、つまり地域の健康状態や暮らしがどう変わったかを問う内容で、アウトカム(成果)評価にあたります。住民の健康状態の改善や要介護認定率の変化と同じく、活動の結果として得られる指標です。4つの視点のなかでは、体制を問うストラクチャー評価から最も離れた位置にあります。
2.社会資源の総合的な調整がされている。:関係者の間で社会資源を組み合わせて調整するという働きかけが行われているかを問う内容で、活動の進め方を見るプロセス評価にあたります。地域に施設や人材などの社会資源が確保されているかという「あるかどうか」であれば構造の視点になりますが、この選択肢は「調整がされている」という活動の実施過程を問うている点で区別します。
3.関係部署、機関との連携は図られている。:正答。行政内の関係部署や地域の関係機関との間に連携の仕組みができているかという、活動を支える体制の状態を問う内容で、ストラクチャー評価の代表的な指標です。地域包括ケアシステムは多職種・多機関がつながることで成り立つため、この連携体制の整備が構築の土台になります。
4.地域のニーズに応じたものになっている。:地域診断で把握したニーズに基づいて計画が立てられ、支援の内容や方法が組み立てられているかを問う内容で、プロセス評価にあたります。アセスメントや目標設定、支援方法の選択が適切だったかという過程の妥当性を見るものであり、人員・予算・連携体制といった枠組みの有無を問うものではありません。
5.必要な事業化、施策化につながっている。:活動を通じて明らかになった地域課題が、新たな事業や施策という形に結びついたかを問う内容で、活動の結果として生み出されたものを評価しています。成果の側(アウトプットやアウトカム)に位置づけられる評価であり、活動の前提となる体制を問うストラクチャー評価ではありません。保健師活動では、個別支援から地域課題を見いだし事業化・施策化へつなげる流れが重視されます。
覚えるポイント
- ストラクチャー=仕組み・体制(人員配置、予算、施設・設備、関係機関との連携体制、協議の場、マニュアル)です。
- プロセス=手順・活動状況(アセスメント、ニーズ把握、目標設定、調整、記録、満足度)、アウトプット=実施量(回数、参加者数、実施率)、アウトカム=成果(健康状態・QOL・有病率・要介護率・医療費の変化、課題の解決)です。
- 判別は「整っているか」「どう進めたか」「どれだけ行ったか」「どうなったか・何が生まれたか」の問いに置き換えると確実です。
- 同じ「連携」でも、体制の有無は構造、実際の連携活動は過程、会議の開催回数はアウトプットと、問われ方で分類が変わります。
- 地域包括ケアシステムは住まい・医療・介護・予防・生活支援の一体的提供で、おおむね30分以内に必要なサービスが届く日常生活圏域(中学校区が目安)を単位とし、市町村が地域の特性に応じて構築します。出題当時は団塊の世代が75歳以上となる2025年が目途とされていました。
- 関連知識として、地域ケア会議の5つの機能(個別課題解決、ネットワーク構築、地域課題発見、地域づくり・資源開発、政策形成)と、地域包括支援センターの3職種(保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員)もあわせて押さえます。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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