111PM017|第111回 看護師国家試験 過去問

全身性けいれん発作を起こしている患者に最も優先して行うのはどれか。

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正解: 1

正答

1.気道確保

この問題のポイント

全身性けいれん発作の最中に、看護師が最初に行う対応を問う問題です。けいれん中から発作後にかけては、分泌物・吐物の貯留や舌根沈下で気道が閉塞しやすくなります。さらに強直期には呼吸筋の収縮で換気も止まるため、低酸素が生命に直結します。優先度は気道(A)→呼吸(B)→循環(C)の順に考えるので最優先は気道確保で、頭部の保護や危険物の除去などの外傷予防はこれと並行して直ちに行い(優先順位は気道確保の次)、静脈路確保などの薬物治療の準備は発作が続く場合に備えて進めます。

解説

「全身性けいれん発作を起こしている」は、いままさに発作が続いている状況を示しています。「最も優先して」とあるので、どの選択肢も看護として必要になりうる行為です。そのなかで、生命への影響が最も大きく、最初に行うべきものを選びます。

全身性けいれん中に起こること

代表的な全身性けいれんである強直間代発作では、突然意識を失います。まず全身の筋肉が硬く突っ張る強直期があり、続いて手足をリズミカルに屈伸させる間代期が現れます。発作中から発作後にかけて、気道(A)と呼吸(B)の両方に問題が生じます。

  • 気道の問題:発作中から発作直後は唾液などの分泌物が増え、嘔吐することもあります。意識がないので咳や嚥下で排出できず、気道閉塞や誤嚥の原因になります。発作後は筋緊張がゆるみ、意識障害(もうろう状態や睡眠)が続きます。仰臥位のままでは舌根沈下で上気道がふさがりやすくなります。
  • 呼吸の問題:強直期は呼吸筋(横隔膜や肋間筋)も収縮したままになるため換気が止まり、チアノーゼがみられることがあります。

強直期の無呼吸そのものは、体位や吸引では解消できません。しかし、呼吸が再開したときに空気が肺まで届くには、気道が開いていることが前提です。気道がふさがっていれば、酸素を投与しても肺には届きません。けいれん中は筋肉や脳の酸素消費量が増えており、低酸素が続くと脳障害などにつながります。そのため、A→B→Cの順に沿って、まず気道を開通させることが最優先になります。

気道の開通と呼吸の援助

  • 気道を開通させる:顔を横に向け、可能なら体ごと側臥位にして、分泌物や吐物を口から流れ出させます。必要に応じて口腔・鼻腔の分泌物を吸引します。発作後に舌根沈下があれば、回復体位にしたり下顎を挙上したりして気道を開きます。
  • 呼吸と酸素化を助ける:首回りの衣服やベルトをゆるめて胸郭や腹部の動きを妨げないようにし、指示に基づいて酸素を投与します。
  • 口に物を入れない:舌をかむのを防ぐ目的であっても、タオルや舌圧子などを入れてはいけません。歯や口腔の損傷、窒息・誤嚥、介助者の指のけがを招きます。
  • 手足を押さえつけない:けいれんを力で止めようとすると、骨折や脱臼の原因になります。

並行して行うこと、その後に行うこと

一人で対応せず応援を呼び、患者のそばを離れないのが原則です。ベッド柵や周囲の物に体をぶつけないよう、頭部の保護や危険物の除去などの外傷予防も、気道確保と並行して直ちに行います。

同時に、次の点を観察して記録します。原因の推定や治療方針の判断に欠かせない情報です。

  • 発作の開始時刻と持続時間
  • けいれんの様式(強直か間代か)、始まった部位と左右差
  • 眼球の偏位、顔色(チアノーゼ)や呼吸の状態、尿失禁
  • 発作後の意識の回復状況

発作が5分以上続く場合は、自然に止まりにくくなります。そのため、てんかん重積状態として治療を開始すべきとされています(国際抗てんかん連盟の2015年の定義、てんかん診療ガイドライン2018)。意識が戻らないうちに発作を繰り返す場合も同様に扱います。このとき、静脈路を確保してジアゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬を静脈内投与します。

心電図モニターは、発作後の循環の監視や、けいれんの原因となる不整脈の鑑別に役立ちます。なお、けいれん様の動きのあとに反応がなく、普段どおりの呼吸がみられない場合は、心停止を疑って一次救命処置に移ります。

臨床では、病棟でも在宅でも、小児の熱性けいれんでも、初期対応の考え方は共通しています。「横に向けて気道を確保する・口に物を入れない・押さえつけない・時間を測る」の4点です。

選択肢の確認

1.気道確保:正答。けいれん中から発作後にかけて、分泌物・吐物の貯留や発作後の舌根沈下によって気道が閉塞しやすくなります。強直期には呼吸筋の収縮で換気も止まりますが、呼吸が再開したときに空気を肺へ届けるには、まず気道が開いていなければなりません。窒息や低酸素は短時間で生命と脳に影響するため、最初に行うべき援助です。具体的には、顔や体を横に向け、必要に応じて口腔内の分泌物を吸引して気道を開通させます。そのうえで衣服をゆるめ、指示に基づいて酸素を投与して、呼吸と酸素化を助けます。

2.周囲の環境整備:危険物を遠ざけ、頭部を保護することは外傷を防ぐうえで大切で、気道の開通と並行して直ちに行う援助です。しかし外傷は、窒息や低酸素ほどすぐに生命を脅かすものではないため、優先順位としては選択肢1の次になります。ベッド上なら柵にクッションや枕を当て、床に倒れているなら周囲の家具や物を離します。発作後は静かな環境で休めるように整え、カーテンなどでプライバシーにも配慮します。

3.末梢静脈路の確保:抗けいれん薬を静脈内投与するために必要な処置で、発作が5分以上続く場合や、意識が戻らないまま反復する場合には欠かせません。しかし、全身が激しく動いている最中は穿刺そのものが難しくなります。また、静脈路があっても気道がふさがっていれば低酸素は防げません。全身性けいれんの多くは数分以内に自然に止まります。発作が始まった時点でまず行うのは気道の開通で、静脈路は発作が続く場合に備えて準備します。

4.心電図モニターの装着:心拍数や不整脈を継続して監視する手段で、けいれんの原因が不整脈による脳虚血(アダムス・ストークス症候群など)かどうかを見分ける手がかりにもなります。発作後の循環の観察や、抗けいれん薬を静脈内投与する際の監視には役立ちます。しかし、けいれん中は筋肉の電気活動が混入して波形が読み取りにくくなります。また、装着しても気道閉塞や低酸素そのものは解消しません。気道(A)を開き、呼吸(B)を確かめたうえで循環(C)の評価に移る順序で考えます。

覚えるポイント

  • 優先度は気道(A)→呼吸(B)→循環(C)の順で判断します。けいれん中の最優先は、顔や体を横に向け、必要に応じて吸引して気道を開通させることです。続いて衣服をゆるめ、酸素を投与して呼吸と酸素化を助けます。
  • 気道の問題(分泌物・吐物の貯留、発作後の舌根沈下)と、呼吸の問題(強直期の呼吸筋収縮による換気停止)を区別します。気道がふさがっていれば、酸素を投与しても肺に届きません。
  • 初期対応では次の5点を守ります。顔や体を横に向けて気道を確保する、口に物を入れない、手足を押さえつけない、そばを離れず応援を呼ぶ、発作の開始時刻と持続時間を測る、です。頭部の保護や危険物の除去は、気道確保と並行して行います。
  • 観察・記録は、開始時刻と持続時間、けいれんの様式、始まった部位と左右差、眼球偏位、チアノーゼや呼吸の状態、失禁、発作後の意識です。
  • 5分以上続く発作、または意識が回復しないまま繰り返す発作は、てんかん重積状態として扱います。静脈路を確保し、ジアゼパムなどで治療を開始します。
  • 発作後は回復体位(側臥位)にして、舌根沈下と誤嚥を防ぎながら意識の回復を見守ります。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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