111PM028|第111回 看護師国家試験 過去問
ABO式血液型におけるオモテ検査とウラ検査の結果の表を示す。 【表】 |オモテ検査(患者血球使用)/抗A血清|オモテ検査(患者血球使用)/抗B血清|ウラ検査(患者血清使用)/A型血球|ウラ検査(患者血清使用)/B型血球|血液型 |+|-|-|+|① |-|+|+|-|② |-|-|+|+|③ |+|+|-|-|④ 【表ここまで】 表の+は凝集あり、-は凝集なしを示す。 血液型判定の結果がO型となるのはどれか。

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正解: 3
正答
3.③
この問題のポイント
ABO式血液型の判定で、オモテ検査は赤血球の「抗原」を、ウラ検査は血清中の「抗体」を調べる検査だと理解しているかを問う問題です。O型の赤血球にはA抗原もB抗原もなく、血清には抗A抗体と抗B抗体の両方があります。そのため、結果は「オモテ検査はすべて凝集なし、ウラ検査はすべて凝集あり」になります。表の見出しの「患者血球使用」「患者血清使用」から、それぞれの検査が何を調べているかを読み取ることが鍵です。
解説
表の読み取り
表の列は左から、オモテ検査(患者血球使用)の「抗A血清」「抗B血清」、ウラ検査(患者血清使用)の「A型血球」「B型血球」です。右端に「血液型」の欄(①〜④)があります。表の下の注記のとおり、+は凝集あり、-は凝集なしです。各行の結果は次のとおりです。
- ①の行:抗A血清+、抗B血清-/A型血球-、B型血球+
- ②の行:抗A血清-、抗B血清+/A型血球+、B型血球-
- ③の行:抗A血清-、抗B血清-/A型血球+、B型血球+
- ④の行:抗A血清+、抗B血清+/A型血球-、B型血球-
抗原・抗体とオモテ検査・ウラ検査
ABO式血液型は、赤血球の表面にある抗原の種類で決まります。A型はA抗原、B型はB抗原をもち、AB型は両方をもち、O型はどちらももちません。
血清中には、自分の赤血球にない抗原に対する抗体が規則的にあります(ランドシュタイナーの法則)。この抗A抗体・抗B抗体を規則抗体といいます。生まれた時点ではまだ十分になく、生後数か月ごろから作られはじめます。一方、輸血や妊娠をきっかけに作られることがある抗D抗体などは、不規則抗体と呼ばれます。
- A型:抗原はA、抗体は抗B
- B型:抗原はB、抗体は抗A
- O型:抗原なし、抗体は抗Aと抗Bの両方
- AB型:抗原はAとB、抗体なし
A抗原と抗A抗体、B抗原と抗B抗体のように対応する組合せが出会うと、抗体が赤血球どうしをつないで塊ができます。これが凝集です。血液型検査は、この凝集が起こるかどうかで判定します。
- オモテ検査:患者の赤血球に、抗A血清(抗A抗体を含む試薬)と抗B血清を加え、赤血球の抗原を調べます。凝集した抗血清の名前が、そのまま患者のもつ抗原です。
- ウラ検査:患者の血清に、A型血球(A抗原をもつ試薬赤血球)とB型血球を加え、血清中の抗体を調べます。凝集した血球の型は、患者が「もっていない」抗原を示します。
たとえばウラ検査でA型血球が凝集したら、患者は抗A抗体をもっています。つまりA抗原をもたない、B型かO型ということです。「A型血球が凝集したからA型」と読むのは典型的な誤りです。
O型の赤血球にはA抗原もB抗原もないので、オモテ検査では抗A血清でも抗B血清でも凝集しません(-、-)。一方、血清には抗A抗体と抗B抗体の両方があるので、ウラ検査ではA型血球でもB型血球でも凝集します(+、+)。この組合せは③だけで、オモテとウラの結果も矛盾しないため、O型と判定できます。
オモテとウラが一致しているとき、「抗A血清」と「A型血球」の結果、「抗B血清」と「B型血球」の結果は、必ず+と-が逆になります。A抗原をもつ人は抗A抗体をもたず、A抗原をもたない人は抗A抗体をもつからです。表の①〜④はどれもこの関係になっています。
臨床での意味(判定の不一致と輸血の安全)
2つの検査を組み合わせるのは、抗原と抗体という別々の面から確かめて、判定の誤りや異常を見逃さないためです。結果が一致しないときは、血液型を確定せずに判定保留とし、原因を調べます。主な原因は次のとおりです。
- 抗体がまだ十分に作られていない新生児・乳児
- 抗体が減っている高齢者や低γグロブリン血症の患者
- 抗原が弱いABO亜型
- 血液型の異なるドナーから造血幹細胞移植を受けた後
生後まもない乳児ではウラ検査の結果が当てにならないため、オモテ検査で判定します。
看護で血液型が最も重要になるのは輸血です。取り違えによるABO不適合輸血を防ぐため、同じ患者から異なる時点で採った2つの検体で血液型を確認します。さらに輸血前には交差適合試験(クロスマッチ)を行います。
- 主試験:患者の血清と供血者の赤血球を反応させます。患者の抗体を見る点で、ウラ検査と同じ考え方です。
- 副試験:患者の赤血球と供血者の血清を反応させます。
ABO不適合輸血では、患者の抗A・抗B抗体が輸血された赤血球を急速に壊します(急性溶血反応)。血管痛、発熱、悪寒、胸痛や腰背部痛、血圧低下、赤褐色の尿(ヘモグロビン尿)などが現れ、ショック、DIC、急性腎障害に至ることがあります。このため、輸血開始後5分間はベッドサイドで観察し、15分後にも再度観察します。異常があれば直ちに輸血を中止し、静脈路は確保したまま医師に報告します。
O型の患者は抗A・抗B抗体の両方をもつため、ABO式で適合する赤血球製剤はO型だけです。逆にO型の赤血球はA抗原もB抗原ももたないため、血液型を確定する時間がない危機的出血ではO型の赤血球製剤を使います。このとき血漿製剤には、抗A・抗B抗体をもたないAB型を使います。通常の輸血はABO同型が原則です。
選択肢の確認
1.①:オモテ検査では抗A血清だけが凝集するのでA抗原をもち、ウラ検査ではB型血球だけが凝集するので抗B抗体をもちます。これはA型の組合せです。O型なら抗A血清では凝集しないため、オモテ検査の時点で当てはまりません。A型血球で凝集しないことも、抗A抗体がない、つまりA抗原をもつことの裏付けです。
2.②:オモテ検査では抗B血清だけが凝集するのでB抗原をもち、ウラ検査ではA型血球だけが凝集するので抗A抗体をもちます。これはB型の組合せです。ウラ検査の「A型血球で凝集」をA型の意味と取り違えやすいので注意しましょう。O型なら抗B抗体ももつためB型血球でも凝集するはずで、O型には当てはまりません。
3.③:正答。オモテ検査では抗A血清でも抗B血清でも凝集しないので、赤血球にA抗原もB抗原もありません。ウラ検査ではA型血球でもB型血球でも凝集するので、血清に抗A抗体と抗B抗体の両方があります。抗原をもたず両方の抗体をもつのはO型で、オモテとウラの結果も一致しています。
4.④:オモテ検査では抗A血清でも抗B血清でも凝集するのでA抗原とB抗原の両方をもち、ウラ検査ではどちらの血球でも凝集しないので抗A・抗B抗体をもちません。これはAB型の組合せです。O型とは+と-がすべて正反対なので、O型とAB型を逆に覚えているとこれを選んでしまいます。
覚えるポイント
- オモテ検査は「患者の赤血球+抗A・抗B血清」で抗原を調べ、ウラ検査は「患者の血清+A型・B型血球」で抗体を調べます。オモテで凝集した抗血清の名前は「もっている抗原」、ウラで凝集した血球の型は「もっていない抗原」を示します。
- 血清には、自分の赤血球にない抗原に対する規則抗体(抗A・抗B抗体)があります(ランドシュタイナーの法則)。O型は抗原なし・抗体は両方あり、AB型は抗原が両方あり・抗体なしです。
- 判定パターン(抗A血清、抗B血清/A型血球、B型血球)は、A型=+-/-+、B型=-+/+-、O型=--/++、AB型=++/--です。
- オモテとウラが一致しないときは判定保留とし、新生児・乳児、高齢者や低γグロブリン血症、ABO亜型、造血幹細胞移植後などを原因として考えます。
- ABO不適合輸血は急性溶血反応を起こします。血液型は異なる時点で採った2つの検体で確認し、輸血開始後5分間はベッドサイドで観察、15分後にも再度観察します。
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