117D077|第117回 歯科医師国家試験 過去問
20 歳の女性。下顎前突を主訴として来院した。中学生のころから自覚している という。外科的矯正治療の適応と診断した。下顎枝矢状分割術後に行う手術の切開 線を示した口腔内写真(別冊No. 27A)と術中写真(別冊No. 27B、C、D)を別に 示す。 この手術の合併症で注意が必要なのはどれか。3 つ選べ。

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正解: c・d・e
正答
c、d、e
この問題のポイント
術中写真は下顎前歯根尖より下方で骨切りし、オトガイ部骨片を移動・固定するオトガイ形成術を示します。
解説
オトガイ形成術では、下顎前歯の根尖、オトガイ孔、下歯槽神経・オトガイ神経の位置を避けて水平骨切りを行います。骨切り線が高すぎると前歯根を損傷し、外側へ広がりすぎると神経損傷による下唇・オトガイ部の知覚鈍麻を生じます。
また、術後出血による口底血腫や舌・軟組織の腫脹は上気道を圧迫し、呼吸困難を来すことがあります。固定後も気道、出血、知覚、前歯の歯髄反応を観察します。
医療安全上のポイント
術後は呼吸状態、口底腫脹、出血、下唇知覚、下顎前歯の生活反応を確認します。
画像の確認
実画像では、下顎前庭部の長い切開からオトガイ骨面を展開し、歯根下方で水平骨切りした骨片をプレート固定するオトガイ形成術が写っている。術野の腫脹による呼吸困難、骨切り時の歯根損傷、オトガイ神経障害による下唇知覚鈍麻に注意する正答c・d・eに対応する。
選択肢の確認
a.開口障害
誤り。一時的な開口制限は起こり得ますが、写真の術式で特に問われる代表的な三つの合併症には含まれません。
b.口笛不能
誤り。口笛不能は顔面神経麻痺などで問題となりますが、オトガイ形成術の代表的合併症ではありません。
c.呼吸困難
正しい。口底血腫や舌・軟組織腫脹により気道狭窄を生じ、呼吸困難となる危険があります。
d.歯根の損傷
正しい。骨切り線が前歯根尖に近いと歯根を損傷する可能性があります。
e.下唇の知覚鈍麻
正しい。オトガイ神経・下歯槽神経の損傷により下唇の知覚鈍麻を生じ得ます。
覚えるポイント
- オトガイ形成術では歯根とオトガイ孔を避けて骨切りする。
- 術後血腫・腫脹は気道緊急につながる。
- 神経障害では下唇・オトガイ部の知覚鈍麻が生じる。