113A062|第113回 歯科医師国家試験 過去問
20歳の男性。上の前歯が出ていることを主訴として来院した。上顎のarch length discrepancyは−2 mm、total discrepancyは−3 mmであった。診断の結果、上顎両側第一小臼歯と下顎両側第三大臼歯を抜去して矯正歯科治療を行うこととした。初診時の顔面写真(別冊No. 18A)、口腔内写真(別冊No. 18B)、エックス線画像(別冊No. 18C)及び側面頭部エックス線規格写真(別冊No. 18D)を別に示す。セファロ分析の結果を図に示す。 適切な装置はどれか。2つ選べ。

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正解: c・e
正答
c、e
この問題のポイント
成人の抜歯を伴う本格矯正では、個々の歯を三次元的に移動する装置と、上顎臼歯の固定源を補強する装置を組み合わせます。
解説
20歳で成長はほぼ終了し、上顎第一小臼歯抜去空隙を利用して前歯を後退させる計画です。マルチブラケット装置なら歯冠・歯根の位置、回転、トルクを精密に制御できます。トランスパラタルアーチは左右上顎大臼歯を口蓋側で連結し、回転・傾斜を抑えて固定を補強します。成長誘導を主とする機能的顎矯正装置は成人には適しません。
画像の確認
実画像では、側貌で口元の突出があり、口腔内では永久歯列の上顎前歯突出がみられます。パノラマ像には抜去対象となる小臼歯・第三大臼歯が確認でき、セファロ分析では前歯歯軸と上下顎関係を個別に制御すべき成人症例であることが分かります。
選択肢の確認
a.咬合斜面板
誤り。咬合斜面で下顎位や前歯被蓋を誘導する床装置で、抜歯空隙閉鎖の精密制御には不十分です。
b.アクチバトール
誤り。成長期に筋機能を利用して顎成長・下顎位を誘導する機能的装置です。
c.マルチブラケット装置
正しい。抜歯空隙閉鎖と前歯後退を含め、全歯を三次元的に移動できます。
d.スライディングプレート
誤り。顎間関係を機能的に誘導する装置で、本症例の成人抜歯治療の主装置ではありません。
e.トランスパラタルアーチ
正しい。左右上顎大臼歯を連結し、固定源の補強と大臼歯の回転防止に使います。
覚えるポイント
成人抜歯矯正=マルチブラケットで歯を動かす。上顎臼歯を動かしたくないとき=トランスパラタルアーチで固定を補強します。
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