113D079|第113回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科矯正学

20歳の女性。受け口を主訴として来院した。検査の結果、顎矯正手術による下顎の後方移動を行うこととした。初診時の顔面写真(別冊No. 27A)、口腔内写真(別冊No. 27B)及びエックス線画像(別冊No. 27C)を別に示す。セファロ分析の結果を図に示す。 術前矯正治療で行うのはどれか。2つ選べ。

113D079の問題画像
2つ選択
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正解: a・e

正答

a、e

この問題のポイント

顎矯正手術前の矯正治療では、骨格性不調和を隠していた歯性補償を除き、空隙を閉鎖し、術後に上下歯列が適合するよう歯列弓形態を整えます。

解説

下顎後方移動術を予定する骨格性III級では、手術前に上下顎の歯をそれぞれの顎骨に対して適切な位置へ並べる「術前脱補償」を行います。骨格性反対咬合では下顎前歯が舌側へ傾斜して反対咬合を目立たなくする歯性補償を示すことが多いため、術前にさらに舌側傾斜させるのではなく、必要に応じて唇側へ起こします。これによって一時的に咬合が悪化しても、骨片移動量を適切に確保できます。

本例では上顎歯列に空隙があり、これを閉鎖して歯列を連続させます。また、手術時に上下顎歯列を予定位置で嵌合させられるよう、両歯列弓の幅径・形態の不調和を術前に改善します。緊密な最終咬頭嵌合は手術後の仕上げで獲得し、顔面正中に対する骨格的下顎偏位は手術計画も含めて是正します。

画像の確認

実画像では、側貌で下唇・オトガイ部の前方突出があり、口腔内では前歯部反対咬合と上顎歯列の空隙が確認できます。セファロ分析ではANB角が負側で骨格性III級を示し、下顎前歯は舌側傾斜による歯性補償を示しているため、空隙閉鎖と上下歯列弓の調和が術前課題です。

選択肢の確認

a.上顎歯列の空隙閉鎖
正しい。
手術時に安定した歯列・咬合関係を作るため、画像で認める上顎の空隙を術前に閉鎖します。

b.下顎前歯の舌側傾斜
誤り。
既存の歯性補償を強める処置であり、術前脱補償では下顎前歯を適切に唇側へ起こします。

c.緊密な咬頭嵌合の獲得
誤り。
術前は手術移動を可能にする配列を優先し、緊密な最終咬合は主に術後矯正で仕上げます。

d.下顎歯列正中と顔面正中の一致
誤り。
骨格的な偏位を伴う正中関係は手術による顎骨移動も含めて改善し、術前矯正だけの目標とはしません。

e.上下顎歯列弓形態の不調和の改善
正しい。
手術後に上下歯列を適切に嵌合できるよう、幅径と歯列弓形態を術前に調和させます。

覚えるポイント

  • 術前矯正の柱は、歯性補償の除去、空隙・叢生の整理、歯列弓の調和です。
  • 骨格性III級の下顎前歯は舌側補償していることが多く、さらに舌側へ倒しません。
  • 最終的な緊密咬合は術後矯正で仕上げます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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