113D083|第113回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科矯正学

8歳の女児。前歯の歯並びが悪いことを主訴として来院した。生後5か月時に口唇形成術を受けている。初診時の顔面写真(別冊No. 30A)、口腔内写真(別冊No. 30B)及びエックス線画像(別冊No. 30C)を別に示す。セファロ分析の結果を図に示す。 正しい所見はどれか。2つ選べ。

113D083の問題画像
2つ選択
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正解: a・e

正答

a、e

この問題のポイント

口唇形成術の既往と左側歯槽部の裂から唇顎裂を認め、パノラマ像では裂部に好発する上顎左側側切歯の歯胚が欠如しています。

解説

唇顎裂は口唇から歯槽突起まで連続する裂で、口蓋まで及ぶ唇顎口蓋裂とは区別します。裂部周囲では側切歯が欠如、過剰、形態異常、萌出位置異常を示しやすいため、口腔内だけでなくエックス線像で歯胚を確認します。本例は乳児期に口唇形成術を受け、上顎左側の歯槽部に裂を認める一方、口蓋全体へ連続する裂は示されていないため唇顎裂です。パノラマ像で上顎左側側切歯の後継永久歯胚が確認できず、欠如と判断します。

セファロ分析ではANB角が骨格性III級を示すほど負ではなく、下顎下縁平面角もハイアングルの所見ではありません。口腔内写真で臼歯部に明らかな上下歯列の交叉関係も認めません。裂患者に一般的に起こり得る所見を一律に選ばず、この症例の画像に実在する所見を選ぶことが重要です。

画像の確認

実画像では、上唇左側に形成術後の形態があり、口腔内写真では上顎左側前歯部の歯槽堤に裂と歯列の不連続が確認できます。パノラマエックス線画像では裂部に相当する上顎左側側切歯の歯胚を認めず、分析図は著しい骨格性III級やハイアングルを示していません。

選択肢の確認

a.唇顎裂
正しい。
口唇形成術の既往と、上顎左側の口唇・歯槽部に連続する裂所見から診断できます。

b.骨格性III級
誤り。
セファロ分析でANB角は著明な負値を示さず、骨格性III級とは判定しません。

c.ハイアングル
誤り。
下顎下縁平面角が著しく大きい分析所見ではありません。

d.臼歯部交叉咬合
誤り。
左右側方面観で、臼歯部の明らかな交叉咬合は認めません。

e.上顎左側側切歯の欠如
正しい。
裂部のパノラマ像に上顎左側側切歯の歯胚が確認できません。

覚えるポイント

  • 唇顎裂では裂部周囲の側切歯に欠如・過剰・形態異常が生じやすいです。
  • 歯の欠如は、萌出状態だけでなくエックス線像で歯胚の有無を確認します。
  • 症候群・裂患者に多い所見でも、提示画像になければ選びません。

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