113D086|第113回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科矯正学

14歳の女子。口元の突出感を主訴として来院した。検査の結果、上下顎両側第一小臼歯を抜去してマルチブラケット装置による矯正歯科治療を行うこととした。初診時の顔面写真(別冊No. 33A)、口腔内写真(別冊No. 33B)及びエックス線画像(別冊No. 33C)を別に示す。セファロ分析の結果を図に示す。 マルチブラケット装置と併用するのはどれか。3つ選べ。

113D086の問題画像
3つ選択
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正解: a・c・e

正答

a、c、e

この問題のポイント

上下顎前突を小臼歯抜去で治療する際は、前歯後退用の空隙を失わない固定源確保と垂直的制御が重要です。リップバンパー、ハイプルヘッドギア、トランスパラタルアーチを併用します。

解説

上下顎両側第一小臼歯の抜去後に前歯を後退させるには、臼歯が抜歯空隙へ近心移動しないよう固定を強化します。リップバンパーは下唇・頰の圧を下顎大臼歯へ伝えて下顎臼歯の近心移動を抑え、下顎側の固定源を補強します。トランスパラタルアーチは左右上顎大臼歯を口蓋側で連結し、回転・傾斜を抑えて上顎臼歯部の固定を補助します。

本例はセファロ分析で下顎下縁平面角が大きい垂直的傾向を示すため、ハイプルヘッドギアで上顎大臼歯の挺出を抑えつつ固定源を強化します。上顎前方牽引装置は上顎劣成長を伴う骨格性III級で上顎を前方へ牽引する装置で、口元の突出を改善する本例には逆効果です。スライディングプレートも本症例の抜歯空隙を利用した前歯後退の固定源として選びません。

画像の確認

実画像では、側貌で上下口唇の突出があり、口腔内写真では上下前歯の唇側傾斜が認められます。セファロ分析でも上下顎中切歯歯軸の唇側傾斜と大きな下顎下縁平面角が示され、前歯後退時の臼歯固定と挺出抑制が必要な症例です。

選択肢の確認

a.リップバンパー
正しい。
下唇圧を利用して下顎大臼歯の固定源を補強し、前歯後退用空隙の喪失を抑えます。

b.上顎前方牽引装置
誤り。
上顎骨を前方へ牽引する骨格性III級用装置で、上下口唇突出を改善する本例には適しません。

c.ハイプルヘッドギア
正しい。
上顎大臼歯の固定を強化し、垂直的な挺出を抑える作用があります。

d.スライディングプレート
誤り。
本例で必要な上下顎臼歯の固定源強化・垂直的制御を担う併用装置ではありません。

e.トランスパラタルアーチ
正しい。
左右上顎大臼歯を連結して回転や近心移動を抑え、固定を補助します。

覚えるポイント

  • 抜歯空隙を前歯後退へ使うには、臼歯のアンカレッジを守ります。
  • 下顎はリップバンパー、上顎はヘッドギアとトランスパラタルアーチで固定を補強できます。
  • ハイアングル傾向では臼歯挺出を抑える垂直的制御が重要です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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